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建物改修の施工会社をどう選ぶ?

ビルなどの建物、大規模修繕あるいは改修の時期がやってきました。オーナーさんはどこに依頼するのでしょう?

まず相談するのは、ビルを建てた建設会社さんか、ビルの設計を担当した設計事務所などでしょうか。

決して間違いではありませんし、それが一番かも早いかも知れません。

ただし、新築時に携わった設計事務所は多くの場合、大規模修繕や改修工事の調査・診断や設計ができるわけでもありません。

施工会社は新築時に受注した責任と恩義もありますから、改修工事も受けてくれるかも知れません。しかし、こちらも多くの場合、改修を積極的に請け負いたくない会社も多いのです。つまり、新築工事を請け負う会社と改修工事を請け負う会社では、工事のジャンルが異なり棲み分けされているケースが多いのです。

新築工事は利益率も高いが、改修工事は新築に比べれば利益が薄いわけです。ですから、改修の専門会社を紹介されるか、同じ会社が請け負ってくれたとしても実際の施工は大規模修繕や改修専門の会社が下請けとして入ることになります。

改修工事は、専門性が高いジャンルであることは、他の記事で紹介していますから、そちらを参考にしてください。

では、実際に、改修専門の会社をどう選べばよいでしょう。工事の品質管理やスケジュール管理が円滑でトラブルもなく、満足のいく施工をしてくれる会社は、専門性が高いジャンルだからこそ、県内にそんなに多く存在するわけではありません。選定作業では、次のような内容を重視しましょう。

➀口コミや評判の確認

飲食店選びなどでは皆さんも自然に行っていることと思いますが、口コミや評判などをチェックして、施工会社の信頼度を確認しましょう。ネットの口コミだけでなく、実際の声を拾うことも大切です。

➁実績や経験、その他

同規模、同条件の工事を請け負った実績を調査します。ホームページなどで分からなければ、直接に問い合わせればよいでしょう。専門性が高いジャンルですから実績は大切、ネット画像だけでなく、直接に訪問して目視で実際の施工例などもしっかり確認しましょう。また、会社の経営状態や、種々の資格の保有者数などもチェックしましょう。

③公共工事の実績

 公共工事を行っている会社ならば、行政が審査済みなので会社の信頼性を見る上で大きな指標にはなります。ただ、民間工事を専門に行っているような会社も多いので、「競争参加資格」や公共工事実績の有無だけを問う必要はありません。公共工事と同レベルの条件を求める方もいらっしゃいますが、公共施設は求める基準レベルが高すぎて、これを真似ると業者の選択肢を減らし、割高になってしまうケースも多いのです。

➃団体などへの加盟

団体への加盟状況なども要チェック。信頼できる会社は、常に技術の研鑽を積み、同業他社などとの情報交換にもアンテナを高く張っています。また、社会の中で、地に足付けて正しく営業活動している証にもなります。怪しい仕事をしている会社は、業界からもはじき出されてしまいます。当協会などは大規模修繕、改修の専門団体ですので、加盟社の中からお選びいただく方法もあります。

価格と提案内容の比較

必ず複数社に声をかけ、相見積もりを取りましょう。この場合、価格だけを優先しないことが大切です。改修工事は比較が難しいのですが、同じ内容、同じ工法なら価格だってほぼ同じになるはずですが、これに大きな差が付くケースがあります。これは、工事範囲、工法、工事の材料、施工手順などに、皆さんが比較しにくいようなが相違点が潜んでいる可能性が高いのです。

➅設計事務所など、別途発注で専門家へ相談を

価格と内容が見合っているか否か、この比較検討が難しいのであれば、調査・診断、設計込みで施工会社を探すのではなく、設計段階までは設計事務所に委託して、施工会社の選定作業も手伝ってもらえばよいでしょう。

 

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