分譲マンションにおける給排水管の改修を考える際に、共用部と専有部に分かれます。一体的に改修することも可能ですが、それは別の機会に譲るとして、ここでは共用部分のみの話に留めます。共用部分の改修は、当然ながら居住者の快適性・安全性、マンションの資産価値の維持などから、当然管理組合が主体となって行う事業になります。
マンションですから工事は大規模かつ困難で、共用部、専有部のその取り合いなどの複雑さもあり、その辺りの水道工事店に駆け込んでも「うちではできません」と言われてしまうでしょう。改修の手法は、いくつかあり、その工法によっても依頼する会社は変ってきます。
さて、どんな方法があるでしょう?
➀更生工事(ライニング工法)
既存の配管内部にエポキシ樹脂などのFRP(繊維強化プラスチック)を塗布し、新たに管を加工形成する手法です。難易度は高く、専門の技術者を抱える専門の工事会社に依頼することになります。
費用は比較的安価で、工事期間も比較的短く、居住者の負担が抑えられます。配管内径は多少小さくなりますが、配管の寿命の延命化が図れます。
しかし、劣化や損傷が大きい場合には採用しづらい工法となりますし、漏水などの
➁更新工事(取り替え工法)
既存の配管を撤去し、新しい配管に交換する方法で、皆様ももっともイメージしやすい方法ですね。配管を完全に新しくするわけですから、最も確実な改修方法と言えますし、➀に比べれば配管寿命も大幅に延びることになります。
ただし、取り換えですからコストは高くなりますし、工事期間も長くなります。必要に応じて壁や床を壊しての作業になりますから、居住者の暮らしへの影響も避けられません。
ただし、漏水トラブルが頻発していたり、耐震性向上のため配管ルートの変更などを行ったりといった場合にはこの方法しかありません。
もちろん、特定の箇所で漏水や詰まりが発生している場合には、その部分だけを補修・交換すればよいわけです。
この他、劣化具合に応じて、➀と➁を組み合わせて処置する方法もありますが、人間の病いと同じで、早期治療なら時間もコストも少なくて済むわけです。
まずは専門のコンサルタントまたは施工業者に依頼して、管の劣化診断を実施し、現状を把握し、どのような工法が適切かのアドバイスを受けましょう。