施工会社選定については、別の機会にも紹介させていただきましたが、ここではユーザーが最も陥りやすい過ちのみについて取り上げてみます。
例えば私たちが電気屋さんで、テレビを買う場合、まったく同じ品物であれば安い店から買うのは当たり前ですよね。もちろんテレビに限らず電化製品全般、いえいえ、世の中のすべての買い物に言えることであえて言うまでもないわけです。
しかし、同じサイズで同じ価格帯のテレビであった場合、皆さんはどうしますか? 1円でも安い方を優先しますか? いえいえ、メーカーはどこか、機能はどう違うのか、保証は何年付くのか、しっかり確認を取ろうと店員にアドバイスを求めますよね。店をはしごして探す場合には、当然店員の態度などによってもちょっとした価格差ならひっくり返ってしまいますね。
大規模修繕の施工者選定も同じです。決して価格だけで選んではいけません。
仮にコンサルタントに調査・診断、設計を依頼して、それを元に数社から相見積もりを取ったとしましょう。それでも、設計には指定のない施工の進め方や材料の違い、各社それぞれの保証等のオプション、人員の体制などの違いがあり、まったく同条件で算出した見積もりではないのです。高い会社、安い会社、見積もり金額にはそれぞれの根拠があるものです。
管理組合の施工者選定作業に寄り添うコンサルタント会社の中には、例えば5社から相見積もりを取って、金額が最上位の会社と最下位の会社は無条件で切り捨てて残った3社の中で比較検討を進めましょうとアドバイスする会社も多いのです。
価格を最優先してしまう。管理組合が施工会社を選ぶ際に最も陥りやすい過ちです。もちろん、お金は大事です。でも、安いのには安い理由があったりするものですから、よくコンサルタントなど専門家のアドバイスにも耳を傾けながら、慎重に比較しましょう。
何を比較するのか? それは、「施工者の選び方」という読み物の中で紹介していますが、経営状況、実績と経験、技術力と専門知識、施工体制とスケジュール管理、安全管理体制、契約条件と価格、アフターサポートと保証、経営状況、対応の細やかさや誠実さ-などがあります。