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大規模修繕の設計は、どんな設計事務所を選ぶのか?

大規模修繕を進める上で、管理会社や施工会社へ全面委任するのでなく、計画の立案から施工会社の選定、工事監理、竣工検査などを第三者目線でしっかりと見て欲しい-との理由から、設計事務所に依頼することになったとします。首都圏などでは以前から一般的に良く用いられる方法で、「その選択肢なら知っているよ」と言われる方も多いかもしれません。いわゆる「設計監理方式」という手法です。

そこで、「早速、設計事務所を検索してみよう」と調べてみると、いくらでも事務所が見つかるはずです。登録している建築士の数だけでも県内に8000人もいるのですから、設計事務所でも数えきれない事務所数が存在しています。

ただし、医院と同じで、特定の病で受診しようと思えば対象はある程度限られるのと同様に、建築士でも木造家屋専門、構造設計専門、設備設計専門という方も多いですし、得手不得手があるのです。

「ホームページをちゃんと調べて、マンション建設の設計にも携わっている事務所だから間違いないよ」と言われるかもしれませんが、それは早計。あらゆる新築建物の設計実績を持っている場合でも、改修設計、大規模修繕設計は得意ではないという事務所が圧倒的に多いのです。依頼に出向いてもそもそも断られるでしょうし、運が良ければ「専門ではありませんが」と渋々引き受けてくれると、その程度の確率です。

また、単なる改修設計なら応じてくれても、マンションの大規模修繕となると「他を当たってくれ」とお払い箱かも知れません。

新築の設計を得意とする建築士は、意匠、つまり建築のデザインや機能性を追求する人が多くいのです。対して、改修、大規模修繕となると、既存の建物の劣化箇所を調査・診断して処方箋を考えるジャンルであり、2つは似て非なる者というか、実は大きく異なるのです。

中でも、マンションの大規模修繕を専門にやっている設計事務所は、静岡県内では片手ほどしかありません。人の暮らしをキープしながら、また、居住者の方々に説明責任を果たしながら大規模修繕に伴走する、これが可能な設計事務所は極めて特異な存在なのです。

管理組合様の総会でのサポート、工事範囲や仕様の決定、施工者選定の助言などといったことは、そこらで目にする「建築設計事務所」ではまず経験がありません。

不慣れな設計事務所が管理組合からの仕事を断り切れずに受注して、後々トラブルになることは古くから首都圏で繰り返されてきました。

あらためて、マンション大規模修繕は専門性が高いジャンルであることをご認識いただければと思います。

設計事務所のご紹介は、静岡県マンション・ビル改修技術協会へお問い合わせください。

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